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筑摩書房
グループ:Book
ランキング:70964
価格:¥ 756
発売日:2008-02
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茂木健一郎科学のクオリア (日経ビジネス人文庫 グリーン も 4-1)
カスタマーレビュー ![]()
高尚で難解な内容
(2008-09-17)
本書の第一印象は高尚な文章で組み立てられているということだ.すべての人には理解することは難しいだろうが,著者の考え方はある程度伝わってきた.ただ,補助線の意味がいま一つよく分からなかった.
また金子みすゞの詩「私と小鳥と鈴と」を引用している所は,非常に共感を覚えた.“みんなちがって,みんないい”というのは,生物のもつ多様性が人間の考え方の多様さに通じる非常に深い意味を持つ言葉だと思った.
さらに,創造性に関する記述は,脳科学者らしく,的確に表現していると思った.
頭の良い人のぼやきと不満。
(2008-07-30)
読み始めた時は、茂木さんの初期作品的で、彼における近頃の銭儲け新書戦略とは異なり、路線修正したのかと安堵してみた。しかし、それは本書に収めれれている文章が2005年から2007年にかけての連載をもとにしているからとわかった。
さらにである。一冊の本になってみるとまったくのまとまりが無く散漫なイメージである。
結局のところ茂木さんは、日本の蛸壺的科学研究業界が嫌い(前から書いている)で2年間だけ居たケンブリッジのハイテーブルに憧れているのであろう。確かに現在の知の巨人かもしれないが、不満やボヤキの裏打ちをするための知では寂しい。
本書を読まれる方は今を生きているのである。彼自身はどうしても対立軸を設定したい様に思えてならない、どちらが良くてどちらが劣るのか。
そんな事を考えていたら、本書のタイトルの補助線とは対立をクリアーカットにするための補助線ではないかと思えてならない。
彼の言う多様であることの必要性にはまったくの同感であるが、頭の丈夫でない(養老さん的に)小市民が本書を読むと、茂木さん自身はクローズドコミュニティーを標榜しているのではないかと思ってしまう。すなわち頭の良い人間、芸術に長けている人間、技術に長けている人間だけが住む世界。
多様な思想や文化が多様な歴史を折り合いをつけながら築いているという文脈はどうも彼の住む日本には無いようである。
広告代理店的戦略でメディアの露出度を上げ、本を出版し続ける知の巨人は一体何を日本人に要求しているのだろうか?
荒々しくリアルな思考の過程
(2008-07-15)
深く考えすぎず、読む。読みながら思考をめぐらせ、脳を回転させる。
この本についてはそんな読み方をしたほうが、著者の主張の理解に近づけるのではと思いました。
そもそも内容を完全に理解するのは、無理です。
この著の内容の主たるは思考の過程であって、思考の源泉は結局のところ茂木さんにしか分からないからです。
あと、前提となる知識量も半端ではないので、読者を選ぶというのもあります。
ただし、そうした書き方だからこそ伝わってくることがあります。
荒々しくリアルな思考の過程。その全体像をできる限りトレースしてみることで、いろいろな想いをめぐらせることができます。
そんな本です。
「世界を引き受ける」心意気
(2008-06-14)
「一見、関係のないように見える分野の間に、補助線を引いてみたい。その補助線を引かなければ見えない新しい世界像、全体として浮かび上がってくるあるイメージを把握してみたい」(本書p116)と著者は語っているとおり、補助線とは一回引いて即座に答えがでるような魔法の杖ではない。何回もありとあらゆる所へ、短い、あるいは長い線を繋いだり消したりしてみて、そうした錯綜した線の中からやっと、解決への糸口が見つかるというほどの意味だと思う。解答がすぐさま見つかる方法が易々と伝授されると思う方がどうか。中学高校の幾何学を私たちはそうして理解してきたのではなかったのか? 安易な解決法そのものを諌めることこそこの著書の通低音だと言いたい。
ニーチェ、モーツァルト、金子みすず、アインシュタイン、小津安二郎、シェークスピア等々を補助線として、とにかく専門以外の知の領域、あるいは感情の世界へ思考の補助線を引くこと。
心脳問題を考えるということは心の神秘を避けて通ることはできない。だが、脳の実証主義的なアプローチだけでも解くことはできない、そうしたアポリアを果敢に引き受けることの裏には、著者の現代科学への危機的状況の認識と深い憂慮の念が存している。細分化された科学の統合不能性は誰の目にも明らかである。だからこそ著者は「世界を引き受ける」知的総合の必要性を繰り返し繰り返し説く。あたかも風車めがけて突進するドンキホーテよろしく、その心意気や好し、である。そうした高邁な理想を一笑に伏すか、賞賛の拍手を送るか、読み手の思量がまさに問われているのではないだろうか? あまりに浅薄な知性が跋扈するかとおもえば、専門の知識に埋没することが知の怠惰でもあるアンビバレントに苛まれている現代科学の警鐘の書であると思いたい。
この先は、天上と地上を繋ぐ方法論のさらなる先鋭化を著者に期待したいので、四つ星。
今時珍しい「知識人」のありがたいお言葉
(2008-05-13)
本書の第一刷は2008年2月10日である。
この一点だけが本書の価値のすべてと言ってもいいだろう。
昔懐かしいポストモダンがこっそり甦ったのかと思った。
支離滅裂な理屈を、実に詩的な文体でだらだら書いくれている。
変な理屈その1.
日本語で表された言説は主に日本人を対象に発信されている。
英語に比べると日本語のシェアは低い。
ゆえに日本語の言説は「普遍」とはいえない。
変な理屈その2.
「創造」の源は「怒り」にある。
モーツァルトは天才だったが不遇でもあった。
ゆえにモーツァルトの創造の源は「怒り」にあった。
こんな感じのことを、ややこしく小難しく雰囲気たっぷりに述べている。
ポストモダン大流行のときに、こんな素敵な独白が大量生産されたものだが、
今これを堂々とやってのけるとは・・・。
もし今後、「恥」をテーマに何か書いてくれたら是非とも読んでみたい。

