ウォーカブルシティ構想

  • URLをコピーしました!

ウォーカブルシティ構想とは?

ウォーカブルシティ(Walkable City)とは、自動車中心の都市空間を「居心地が良く歩きたくなるまちなか」へ再構築し、人が主体的に移動・滞在できる環境をつくる都市づくりの理念です。歩行者や自転車利用者が優先されることで、健康・環境・地域経済・コミュニティが一体的に活性化します。

目次

国土交通省のフレームワーク

国土交通省はウォーカブルシティを次の4つの視点(WEDO)で定義し、ポータルサイト「WALKABLE PORTAL」で情報発信を行っています。

  • Walkable(歩きたくなる)
  • Engaging(まちに開かれている)
  • Diverse(多様な人が集まる)
  • Open(開かれた空間が心地いい)

推進体制と参加自治体数

  1. 国土交通省が主体となり、街路空間の再構築・利活用に関するガイドラインや勉強会を全国で開催
  2. 2019年には参加自治体数207、2025年6月時点で392都市が「ウォーカブル推進都市」に登録し、横断的なノウハウ共有や事例検証を進めている

海外事例

都市名特徴
コペンハーゲン中心市街地の車道を歩行者・自転車優先へ再編し、世界一の自転車都市に
メルボルン「15分都市」構想で住民の主要日常機能を徒歩15分以内に集約
バルセロナ「スーパーブロック」構想で複数ブロック単位の車両侵入制限や公共空間の再配置を実施

国内事例:菊池市の取り組み

  • 令和元年に「ウォーカブルシティ推進都市」を宣言し、中心市街地を“車中⼼”から“⼈中⼼”へ再構築
  • 歴史ある街並みや温泉資源を結ぶ歩行ルート整備、SDGs未来都市としてまちの魅力向上と地域経済活性化を両立

社会的・文化的意義

  • 健康寿命の延伸:歩行を日常化し、生活習慣病予防やメンタルケアに寄与
  • 地域経済の活性化:人の滞在時間増加が商店街やカフェの利用促進に直結
  • 環境負荷の軽減:自動車依存低減によるCO₂排出削減や大気汚染改善
  • コミュニティ醸成:公共空間での偶発的な出会いが孤立防止や地域力向上につながる

【参考文献】

  1. sumatori.jp「ウォーカブルシティとは?…」
  2. 国土交通省 WALKABLE PORTAL
  3. 菊池市公式ウェブサイト「まちなかウォーカブルシティ構想について」
  4. earth-ism.jp「歩くことが暮らしの中心の都市│ウォーカブルシティとは?」

ウォーカブルシティ構想:具体事例集

街を「歩きたくなる場」に変えるための取り組みを、国内外の具体的な事例を交えてご紹介します。

1. 基本理念と国交省フレームワーク

歩行者や自転車が主体的に移動・滞在できる「歩きやすい街」をつくるため、国土交通省は以下の4視点(WEDO)で推進しています。

  • Walkable:歩きたくなる
  • Engaging:まちに開かれている
  • Diverse:多様な人が集まる
  • Open:開かれた空間が心地いい

推進都市として全国約390自治体が登録し、ガイドライン作成や事例共有を行っています。

2. 国内の代表事例

地域事例名特徴・効果
島根県・松江市神門通り(しんもんどおり)石畳や屋根格子ベンチを設置し、社寺参拝路を再生。歩行者専用時間帯の実験で滞留時間が30%増加。
大分県・大分市大分いこいの道大分駅南口の再編で幅員4~9mの「緑の広場」を整備。ベンチや植栽が市民の憩い場に。
宮城県・女川町女川駅前レンガみち廃線跡地をレンガ舗装&広場化。地域住民による清掃ボランティアで「まちの愛着」が向上。
京都府・京都市四条通車線数を減らし、路面を色分け。歩道幅を最大3m拡大。商業集積との相乗効果で通行量・売上が10%増。
東京都・墨田区さかさ川通りライン照明や街路樹で夜間の安心感を演出。子どもから高齢者まで「気軽に散歩できる道」に。

3. 海外の先進事例

  • コペンハーゲン(デンマーク)
    中心市街地の1.1kmを1962年から「ストロイエ」として歩行者専用化。自転車優遇策と合わせ、世界屈指の自転車都市に発展。
  • メルボルン(オーストラリア)
    「15分都市」構想を長期計画に設定。徒歩15分圏内に住宅・職場・商業・公園を集約し、日常の移動を全て歩行で完結させる取り組みを推進。
  • バルセロナ(スペイン)
    400m四方の街区を「スーパーブロック」として車両進入を制限。内部を緑道や広場化し、住民参加のまちづくりにより事故率が半減、歩行者滞留時間が40%増加。
  • ニューヨーク(米国)
    廃線高架を公園化した「ハイライン」。緑豊かな遊歩道とアート空間を融合し、年間700万人以上の来訪者を生む都市の新しいランドマークに。
  • パリ(フランス)
    セーヌ川沿いの歩道を大規模に拡張し、自動車通行を制限する「リヴォリ通り」。週末にはカフェやヨガ教室が路上を彩り、市民の交流拠点に。

4. 比較テーブル

項目国内事例海外事例
スケール駅前広場再編~都心大通りまで様々10数ブロック~都市全域
手法舗装・広場整備・照明演出・ベンチ設置車両制限・高架再利用・複合プログラム
参加主体自治体+地元商店会+住民中央政府+市役所+市民グループ
主な効果商店街売上増/滞留時間増/安全性向上公共空間活性化/観光増/事故減
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次